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分数の割り算を「りんご」で説明できる? [その他いろいろ]

小学生に算数を教えるとき、たいていの教師はリンゴやミカンを黒板に書いて教える。分数の場合でも例えば2/3だったら「3個あるリンゴのうち2個」とかいって表現する。

以前、何かのアニメ、確か「思ひ出ぽろぽろ」の中で主人公が

「私、分数の割り算がでてきてから算数がすっかりできなくなったのよね。だって、なんで片方はそのままでもう片方をひっくり返して掛け合わせるのか、どう考えてもわからなかったし、今でも分からない」

といったセリフがあったように記憶している。

僕も分数の割り算を「リンゴ」や「ミカン」で説明することはできない。いや、時間をかけて考えれば非常に複雑なやり方で説明できるのだろうが、小学生に理解させられるほど噛み砕くことは無理だろう。

でも、この分数の割り算こそが「算数的世界」から「数学的世界」への入り口になる。

算数的世界は現実の生活に直結した世界である。指やミカンで表現できる範囲の計算が主体である。

しかし数学的世界では現実との整合性は「どうでもよい」のである。数学的世界では「数学の法則」に従ってさえいれば何をしてもよいし、どんな奇妙な概念でも存在可能なのだ。言ってみれば数学の世界は独自の法則によって支配された完全に独立した抽象的宇宙である。

例えば虚数という概念がある。虚数は2乗するとマイナスになる変てこな数概念なのだが、実数が存在する以上、この虚数は存在して「構わない」のである。数学的宇宙では虚数の存在は法則に違反してないからだ。虚数が最初に発見されたとき、それが現実世界に存在しているとは誰も思っていなかった。しかし時代が下って、物理学的現象のなかにこの虚数を使うとうまく説明可能な現象が見つかり、虚数の実在が確認された。でも実在が確認されようがされまいが、数学的宇宙のなかには存在し続けるのである。

ということで、少し話がずれたので元に戻すと、分数の割り算というのは、分数の掛け算が存在する以上、必ず存在しなければならない概念である。なぜなら数学的法則のなかでは掛け算と割り算は表裏一体だからだ。分数の割り算が実生活の現象に結びつくかどうかは数学的には実はどうでもよいのである。このことが受け入れられるかか否かが数学好きと数学嫌いを分けるのだろうと思う。

小学校の先生方、子供に分数の割り算を教えるとき、機械的に「ひっくり返して掛け合わす」をだけ教えるのではなく、少しこういった数理哲学の話をしてみたらいかがだろうか?難しいか?


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makiri

数学哲学!
そんな言葉があるのですねー。
私はDyslexiaなので数学はイメージできないと
なかなか理解できません。
子供の頃から「数学嫌い」と思われていましたが実は好きなのです。

ゼロを先生や親は「ない」と教えるけど
私にはいつもゼロはあったのです。
101なら、10の位が「ない」と教えるのだろうけど
「それならなぜ11にならないのか?」という事にこだわってました。
0があるから101になってると言い張って、
ゼロが「ある」という事を説明できずに
「この子はへ理屈ばかり言って勉強を覚える気がない」
と言われ続けたのを思い出しました。

そのとき数学哲学的な教え方があれば
もう少しユニークな発想ができてたかもしれませんね。
by makiri (2005-05-11 00:25) 

しょちょう

makiriさん
ゼロはあります。101を十進法に則って表現すると
101=100*1+10*0+1*1となります。したがって10の位には0をかけなくてはなりません。この考え方を子供向けに分かりやすく説明するのが親や教師の役目で「ないものはないんだ!」と切り捨てるのは、良いことではないですね。
by しょちょう (2005-05-11 04:18) 

プラン7

こんにちは。
そうそう。僕も以前からそう考えていて、家庭教師をしていたときに実践したんです。でも中学1年の野球少年は「はあ?」と一蹴。宇宙論のおもしろさを話しても「俺そういう宗教っぽいのとか信じないから」。ううっ・・違うよ、宗教関係ないよ・・。

単に僕の教え方が悪かったのかもしれませんが、一般的に言って抽象的思考はある程度知識や経験がないと難しいものだと言われていますよね。抽象思考ができないからこそ、小学校の教壇では具体的なリンゴとか持ち出しているわけだし、大学では哲学はもっとも難しい学問のひとつなわけだし。
でも、僕には伝え切れませんでしたが、しょちょうさんがおっしゃるとおり、現場の先生には頑張ってほしいですね!!やっぱり。

長々失礼しました。
by プラン7 (2005-05-11 18:42) 

しょちょう

プラン7さん
ようこそ。そうですか、知識や経験がないと抽象的な概念の理解は難しいですか。そうすると小学生に分数の割り算を教えなくてもいいのかもしれませんね。変わりに三平方の定理を小学生に教えてもいいんじゃないでしょうか。ちなみに分数の割り算はたしか中世以降のヨーロッパで発見された概念です。三平方の定理や平方根の概念は古代のメソポタミアですでに使われていました。
by しょちょう (2005-05-11 18:52) 

HANA

私も数学は下手の横好きでした。分数は足し算からして理解するのに時間かかったし、公文式は早々にリタイア、高校数学も幾何と証明問題が好きだったものの、全体にセンスがなく脱落。微分積分は、いまでもチャンスがあればやりたいです。
by HANA (2005-05-12 04:59) 

しょちょう

微分積分、いいですね。イギリスは微分積分を生んだ国ですから、ここにいるうちに勉強されては?
by しょちょう (2005-05-12 07:08) 

メル

私も分数を「りんごを半分にすると1/2になります。」と教えられました。
そして、先生は「1/2を数直線上に表すとここになります。」と言いました。
私は「えっ!りんごはどこに行ったの?なんで、りんごと線が関係あるの?」となって、なかなか理解ができませんでした。
by メル (2005-09-18 19:20) 

しょちょう

メルさん
はじめまして。そうですね、ご指摘のとおり分数の割り算を小学生に理解させるのは難しいですね。リンゴやミカンの世界から外に出ないといけませんね。
by しょちょう (2005-09-19 23:33) 

メル

こんにちわ。
しょちょうさんのプロフィール、拝見させて頂きました。
オックスフォード在住なんですね。
オックスフォードと言えば、私の尊敬する大数学者ロジャー・ペンローズ卿が居るところじゃないですか!
幼い時に「ペンローズの三角形」を考えたり、特異点定理を証明したり、最近では「スピン・ネットワーク」を提唱して、量子重力理論にアプローチしている彼は凄いと思います。
by メル (2005-09-21 18:34) 

しょちょう

メルさん
僕もペンローズの名前は聞いたことがありますが、彼がオックスフォードにいるというのは初めて知りました。そんなに凄い人なら会ってみたいものです。
by しょちょう (2005-09-21 22:15) 

NO NAME

現在の日本の教育方針は、初期段階で本質を隠蔽し、後に本質を教えると
いう傾向が見られる。本質は難解であるから、初期段階では隠蔽した方が
理解しやすいとの配慮であろうが、全くの見当違いである。

初期段階でゴマカシの理解を植えつけられてしまっては、後に本質を教え
ようとしても簡単には移行できないのである。初期段階から本質を教えた
ほうが、後々のためにも遥かに合理的である。

例えば割り算の本質は「分ける」ではなく「大きさを比べる」なのである。
分母を「1」としたとき、分子はいくらに当たるのか。「大きさを比べる」
が本質であり「分ける」というのは間違った考えなのである。「分ける」
という考えは分数・少数の出現により、即座に破綻する。
また何を「1」として大きさを比べているのかという本質も掴めなくなる。

「分ける」 では分数・少数の割り算は理解不能である。1.23/4.56で
1.23を4.56に「分ける」とはどういう事か。また通分とは何を「1」
として大きさを比べているのか、基準となる数を同じにすることである。
基準となる数が同じになっていなければ足し引き不可である。通分も「分ける」
では理解不能である。

また、数学で「割り切れない」と言いながら理科で「割り切れない」とすると
不正解になる。「分ける」という考えは百害あって一利なし、後々まで悪影響を
及ぼす、全くの「害算」である。割り算のイカサマこそ理数嫌いへの第一歩なの
である。あくまで「分ける」で押し通すのであれば、分数・少数は一切教えるべきではない。

割り算が最初に導入されたのは小学校2年次だと記憶しているが、それから小学校6年次で
ようやく「大きさを比べる」が導入される。しかしこれでは手遅れである。それまで散々
「分ける」という考えが浸透してしまっているため簡単には移行できないのである。やはり
小学校2年次の段階で最初から「大きさを比べる」とするべきである。

ところで、ジブリのアニメ映画「おもひでぽろぽろ」では主人公が割り算のイカサマに
悩む場面があり、大変印象的であった。最初から「大きさを比べる」とすればこんなこと
で悩まずに済んだはずであるが。

初期段階で本質を隠蔽することに何の意味がある。
初期段階から本質を教えてこそ真の教育の姿であると言える。

by NO NAME (2010-05-06 22:33) 

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