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ガオグライは勝ち組、ブアカーオは負け組 [ムエタイ・ガオグライ]

いよいよ明日はK-1 World GPアジア予選である。僕は楽しみでならない。
なぜならガオグライ・ゲーンノラシンが出場するからだ。
ただ、問題なのは、ここイギリスでは試合を見られないのである。(泣)
とりあえず、結果だけでも試合速報でリアルタイムでチェックする予定。

さて、今回はかなり強引なタイトルである。
「ガオグライは勝ち組、ブアカーオは負け組」
どういう意味か説明しよう。

ガオグライ・ゲーンノラシンとブアカーオ・ポープラムックはどちらもタイ人のムエタイ選手である。
ガオグライが体重78kgで重量級のGPで現在世界3位、ブアカーオが70kgで中量級のMAXで世界チャンピオンである。
僕はムエタイが大好きな上に、タイ人びいきなため、この両選手をいつも応援している。

さて、K-1というのはユニークな競技で、一応真剣勝負なのだけれど試合前からある程度筋書きが決まっている。今回は誰を勝たせるか、誰を優勝させるかが決まっている。マッチメイクも判定もそのシナリオに則って行われるのである。その意味ではプロレスと似ている。ただし、リングに上がっている選手は本気でやっているので、よく番狂わせが起こって主催者側の意図とは異なった人が勝ってしまったりする。

ガオグライもブアカーオもそういった番狂わせを起こしてしまった選手である。ガオグライは去年のGPアジア予選で曙を優勝させるために連れてこられた「かませ犬」だった。そもそも体重78kgの痩せた男が100kgを超えた連中の中に混じって試合するというのは無茶な話である。最悪、曙が優勝できなかったとしても、他の日本選手や開催国の韓国の選手が優勝してめでたしめでたしとなる予定だった。

しかし、ガオグライは優勝してしまった。

主催者側としては何とかこのはみ出し者を消す必要が生じた。なぜならこんな無名なタイ人にGP本選に出られると視聴率が下がって困るからだ。したがって、アジア予選の次に行われたGP開幕戦では本選の優勝候補筆頭であるイグナチョフを当てた。これはまさに公開処刑である。体重差40kg。ヘビー級の選手でもイグナチョフの蹴りが一発当たればアウトである。いわんやガオグライをや、である。

しかし、蓋を開けてみればガオグライが判定勝ちを収めてしまった。

またしても筋書きを壊されてしまった主催者側はかなり焦ったようだ。その後別の団体が主催するTITANS 1stという大会にガオグライが出場することになった。対戦相手はヘビー級のマイク・ベルナルド。体重差は今回も40kg。はっきり言ってプロスポーツとしてありえないマッチメイクである。

この試合にK-1から条件が課せられた。「もしガオグライが負けたり怪我をしたりしたらGP本選には出場取り消す」というのである。すでにアジア予選も開幕戦もクリアーした選手が、他の競技団体の試合の結果で出場を取り消されるというのはどう考えても理屈に合わない。要するにまたしても試練を与えたわけである。

しかし、またガオグライは勝ってしまう。

ここで主催者側はハタと立ち止まって考えてみる。
この無名のタイ人選手、実はヒーローに仕立て上げられるのではないか?
小さい選手が大きい選手を倒すのは日本人の美的感覚にマッチする。
顔もまずまずかっこいい。これはK-1では極めて重要な要素だ。
しかもこのタイ人はムエタイの殿堂ラジャダムナン・スタジアムで2階級制覇している(すぐにタイトル失ったみたいだが)。ムエタイの2大スタジアムであるラジャダムナンとルンピニーは格闘技業界では絶大なブランドイメージがある。武田幸三などは、いつも肩書きに「元ラジャダムナン王者」と書かれ宣伝される(ちょっとかわいそうだが)。

ということで、今度は一転、スターとして扱われるようになりはじめた。
それを決定付けたのが年末のWorld GP本選である。この試合はヘビー級の最後の大一番であり、世界各地の予選を勝ち抜いてきた選手たちが、トーナメントで試合を行う。
ガオグライの一回戦の相手はアメリカの怪物マイティー・モー。ガオグライとの体重差実に50kg。今までのKO勝利率80%以上で、この試合の直前にも元腕相撲世界チャンピオンで格闘家のゲーリー・グッドリッジを1Rでノックアウトしたばかりである。モーのパンチが一発当たれば試合は終わるし、ガオグライが五体満足でリングを降りるのは難しいだろうとさえ言われていた。

しかしガオグライはわずか1Rでモーをマットに沈めた。
今どき格闘技ゲームでしか見られないようなジャンピング・ハイキックの一撃だった。

さらにガオグライをスターにせざるを得ないもう一つの要素がある。
ヘビー級には華のある強い日本人選手がいないのだ。
M蔵という選手がいるが、パッとしない試合が多く、あまり人気がない。
このM蔵を強引に勝たせようとして、GP本選ではかなり無理な判定を連発し、不評を買った。

ということで、ガオグライは一気にスターダムをのし上がった。
今や完全に「勝ち組」となったのである。
今回のアジア予選ではすでに「勝たせる選手」のリストに入っている。彼のために勝利の筋書きが用意されている。
そもそも負けても開幕戦の出場権があるのである。去年とはえらい待遇の違いだ。

それに比べてブアカーオは「負け組」である。
彼もガオグライ同様、「勝ってはならない」選手だった。
中量級にはマサトというカリスマ性のある強い選手がいる。
どうしてもマサトを勝たせなくてはならない。
その筋書きを実現するためにMAX世界大会ではいろんな選手が集められた。

K-1としてはどうしてもムエタイの選手を一人入れる必要があった。
なんだかんだ言って、やはり「ムエタイ」のネームバリューはこの業界で絶大だ。
出場選手に彩を加えるためにタイ人のムエタイ選手は欠かせない
しかし強すぎるのを連れてくると、マサトが優勝できない。
そこで、マサトよりも1階級下で、2大スタジアムのタイトルも持っていない無名の選手をタイから連れてきた。それがブアカーオである。

そのブアカーオが圧倒的な強さで優勝をかっさらって行った。
決勝でのマサトはブアカーオの蹴りを受け続け、まるで人間サンドバックだった。
八百長判定によって延長戦にもつれこませてまでマサトを勝たせようとしたのに、それでもブアカーオが勝ってしまった。

ブアカーオは不運だ。
彼にはスターに仕立て上げられるための条件が揃ってなさすぎた。
この階級には主催者側が「どうしても勝たせたい」選手が何人もいる。
マサトしかり、子比類巻しかり、キッドしかり・・
ガオグライのような「小が大を制する」といった一貫したテーマ性もない。
ただひたすら強いのである。

ここからブアカーオには「定められた負け犬」としての試練が始まる。
とりあえず挨拶代わりに、急なルールの改正が行われ、彼の得意な膝蹴りの連打ができなくなった。

彼がこの逆境を実力で乗り越えるか、それとも主催者側のシナリオどおり今年のMAX世界大会で負けるか、僕は注意深く見ている。

ということで、ガオグライは勝ち組、ブアカーオは負け組なのである。
これは決してブアカーオがガオグライより弱いという意味ではない。
僕はむしろその逆だと思っている。

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コメント 22

GANTZ

ガオグライがミドル級にでたらどうなるでしょうか?よくガオグライがミドル級に出ても勝てないというのを聞くけど、タイトルを取ったことが無いブアカーオでも優勝できたのだから、二階級制覇したガオグライなら楽勝だと思うんだけど?
by GANTZ (2005-03-29 17:12) 

しょちょう

GANTZさんコメントありがとうございます
ガオグライがミドル級に出たら?たぶんブアカーオとは接戦になるでしょうね。
勝つか負けるかは5分5分ではないでしょうか。体大きいぶん、ガオグライが有利ですが、ブアカーオのミドルや首相撲の強さはガオグライの上を行っていると思います。
でも、逆にブアカーオがもしヘビー級に出たも、ガオグライのようには活躍できないと思います。ブアカーオにはあれだけの動態視力や体の柔らかさがありません。
by しょちょう (2005-03-29 19:11) 

ZETMAN

ガオグライvsブアカーオは接戦になるでしょうね。キックはブアカーオのほうが上だけど、パンチはガオグライのほうが上ですね。ガオグライは手打ちが多いんだけど、ナチュラルタイミングを持ってます。たぶん、運動神経がいいんだろう。ところで、ガオグライvsマサトはどっちが勝つと思いますか?マサトの試合はKID戦しか見たことが無いので判断できません。でも、顔見た感じ、チャラチャラしててハングリーさを感じ無いので、ガオグライが勝つと思いますけど・・・・
by ZETMAN (2005-04-01 10:53) 

しょちょう

見た目はああですが、マサトは強いです。
ムエタイルールなら72kg制限でも80%の確率でガオグライ
K-1ルールで、72kg制限、かつ完全に中立な審判でやれば70%の確率でガオグライ
K-1ルールで、70kg制限で、いつものK-1判定でやれば、90%の確率でマサトでしょうね。
by しょちょう (2005-04-01 12:26) 

fragancia04

私はMAXでは断然ブアカーオびいきです!御承知でしょうけど…。
でもしょちょうさんのおっしゃること、理解できます。(谷Pのバカ!)
彼はムエタイ選手としては身体が大きすぎるので、タイではなかなか試合が
できないのですよね、可哀想に。「ボクはムエタイを愛しています」って前にコメントしてて、それ聞いて感動しました。
タイ人全体を大きくする方法はないかしら…。
by fragancia04 (2005-04-13 15:14) 

しょちょう

fragranciaさん
ブアカーオびいき。大いに結構です。僕もブアカーオ大好きですから。
ガオグライの魅力についていろいろ書いたのですが、今度はブアカーオについても焦点を当てていこうと思ってます。fragranciaさんはブアカーオのどういったところがお好きなんでしょうか?
タイ人を肉食にしたら大きくなるんではないでしょうか?とにかくガオグライにはしっかり食べてもらいたいです。
by しょちょう (2005-04-13 17:42) 

fragancia04

タイ人はあまり肉を食べない?…
ムエタイ選手は基本的に1日2食と聞きました。食事内容は炭水化物がかなり多いと感じました。肉は鶏肉が多いですね。
彼らの身体をみてると無駄な肉はひとつもない!という感じがします。それに比べて日本人選手は、確かに筋肉質とは思いますが、「ふくよかだな」と感じてしまいます。筋肉をつけるには運動直後のタンパク質摂取が効果的、とどこかで読んだ覚えがあります。スポーツ栄養の知識を身に付けたい…。
タイ人全体の体格が早く大きくなるよう、心から祈ってます。(私って何者?!)
by fragancia04 (2005-04-13 22:11) 

しょちょう

.>タイ人全体の体格が早く大きくなるよう、心から祈ってます。(私って何者?!)

すっかり御自分をタイにidentifyされてますね。やはり重度の「タイタイ病」ですね(笑)。私もその患者の一人ですが。
by しょちょう (2005-04-14 02:40) 

meew

>タイ人全体の体格が早く大きくなるよう、心から祈ってます。(私って何者?!)

う~ん、個人的意見を言わせていただければ、一般のタイ人の体格は今のままであり続けて欲しいと思っています。最近頓に増えてきたという「肥満児」、富の象徴かもしれませんが、好きではありません。自分にないものを望んでいるのかもしれませんが、女性の目から見てもタイ人のほっそりとした身体は美しいと思います。ムエタイをはじめとした運動選手に関しては、この限りではありませんが。
by meew (2005-04-14 11:14) 

しょちょう

meewさん
直接関係ない話ですが、先進国において肥満は経済力と逆相関していることが証明されています。つまり貧しい人ほど肥満が多いのです。逆にGDPの非常に低い国では金持ちほど肥満になる傾向があります。タイの場合はおそらくその中間で、肥満と経済力は無関係かもしれません。
それはともかく、僕もタイ人のほっそりした脚はいいと思いますよ!
by しょちょう (2005-04-14 17:52) 

fragancia04

タイ人の体格についてですが、日本人も昔は小さかったですよね。しかし疫学的な裏づけがあるのかどうかは知りませんが、国の発展と共に日本人の体格も大きくなりました。タイ社会も今どんどん発展してきているので、それと共に体格も大きくなるのではないかな?と思っています。もちろん、縦横バランスよく、がいいです。肥満はいけません。タイ人に大きくなってほしい理由は、その方が世界進出のチャンスが増える(タイ国外でもタイ人選手の活躍がいっぱい見られる)という私個人の願望からです。私もムエタイ選手の無駄肉が一切なさそうな体つきが好きです。それと、ほっそりした脚についてる腓腹筋が好きです…。
by fragancia04 (2005-04-15 14:35) 

しょちょう

fragrancia04さん
むむ、「疫学的な裏づけ」というあたり、素人ではない雰囲気を感じ取りますよ。Kさんは医療関係ですか?
それはともかく、僕もムエタイ選手にはハイレベルな技で世界を席巻して欲しいと思っているのですが、そのためには中量級以上の選手の層が厚くならないといけませんね。K-1のMAXですら至適体重のタイ人選手があまりいないわけですからね。
by しょちょう (2005-04-15 19:09) 

通りすがりですが

やっぱり、世間では、タイトルをもってるガオグライのほうが格上と考えている人が多いんですかね。実際の所は、ウェルター級以上は層が薄いので、層の厚いライト以下で実績をあげてから、階級をあげてくる選手は別格なんですけど。ここ数年では、ガオランなんかがそうで、ライトからウェルターにあげたとき、同じ体重では賭けが成り立ちませんので、相手に何ポンドもハンデをあげていましたが、それでもその階級の一流選手に連勝していました。ブアカーオは、タイトルこそもっていませんが、選手層が厚く、王者とランカーの実力が紙一重といわれるライト級以下の階級でも連勝していましたので、ウェルター級以上で相手になる選手はほとんどいないと思われます。
by 通りすがりですが (2005-05-02 02:38) 

しょちょう

世間ではそうでしょうね。玄人や目の肥えた素人はブアカーオのほうが技術が高いと思っているのではないでしょうか。どっちが強いかはやってみないと分からない部分があるので何ともいえませんが、個人的にはブアカーオのほうがムエタイ・ルールだったら強いのではないかという気がします。
by しょちょう (2005-05-02 04:29) 

宙太郎

今頃ここです、格闘技(プロ、アマには無いであろうと・・・)恐るべし!!
そこまでシナリオが出来ているとなんだかなぁ~と思っていますが、そんなときこそ応援のし甲斐がありますよね。
大番狂わせの時のプロデューサーの顔のUPを見てみるのも面白そうですね。
by 宙太郎 (2005-08-17 10:05) 

しょちょう

丁寧に古い記事を読んでいただきありがとうございます。シナリオが壊れて狼狽するプロデューサーを見るのもまた楽しみの一つであります。
by しょちょう (2005-08-17 10:12) 

ひら

私が言う筋合いではないかも知れませんが
2人とももう少し大人の対応をしてください。
頭を冷やして冷静なコメントをお願いします。
読んでるこっちの方も不愉快だし、2人の喧嘩腰のコメントにヒヤヒヤします。
ネットごしだから殴り合いの喧嘩にならないことだけが幸いです。
みんなで仲良く選手を応援しましょう。
by ひら (2006-06-19 00:38) 

しょちょう

ひらさん
カウチャイ・カップ。コートーナ・カップ。
黙殺や削除するよりはいろいろ刺激して楽しんでしまおうとするこの態度、我ながら問題だと認識しております。反省。
ついでに消しときました。
by しょちょう (2006-06-19 00:50) 

やす

私個人の意見ですが、言いたい事を多少我慢して、互いに納得しないまま妥協するよりも互いに納得するまでやり合うのが、逆に一番平和な解決方法だと思いますけどね。大人の対応って響きがなんとなく嫌な感じです。商売なら大人の対応も必要だと思いますが、プログですからガンガン言い合えばいいんじゃないですか。しょちょうが筋の通った論理で訪問者を論破して行くのを見るのが私の密かな楽しみでもあったので、コメント欄を消されると多少寂しい気がしないでもないです。
でも最近はプログでも気に入らない事を書くと大勢の読者がプログに
特攻して、プログが炎上&閉鎖に追い込まれる事もあるようなんで、気を付て下さいませ。しょちょうは谷川Pの気持ちにも多少なったりしながら、コメント欄での喧嘩面白い派、見苦しいから辞めて派など色々なタイプの読者がいますが、
色々なマッチメイクで楽しませてもらえると、うれしゅうございます。
by やす (2006-06-19 04:20) 

しょちょう

やすさん
なるほど、こういうご意見もあるのですね。以後消さないように心がけます。
今回は2Rまで軽いジャブで刺激しつつ出方を見ていたのですが、3R早々に相手が感情失禁し自沈してしまったので、あまり議論を楽しむ間もなく試合が終わってしまいました。どんな相手ともかみ合う議論のテクニックを習得していきたいと思います。
by しょちょう (2006-06-19 11:09) 

ひら

やすさん
「大人の対応」という言葉、私も送信してからちょっとヤラシイ言葉だったかな、と気にはなってました。すいません。実は私もしょちょうさんと訪問者のコメント合戦は好きです。でも今回はすこし心配になったものですから、ああいうコメントをさせていただきました。
by ひら (2006-06-19 12:17) 

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